フランスの小さな出版社が世界の純文学をリードした時代があった。
アラン・ロブ=グリエ,クロード・シモン,ミシェル・ビュトール,ナタリー・サロートなど,いわゆるヌーヴォー・ロマンと呼ばれた作家たちの小説を次々に世界に発信した。
1960年代から70年代にかけて。そのころ,ぼくたちはその新しい文学に狂気乱舞していた。その斬新さがだれの目にもはっきりとわかるような作品だったから,小説家志望の若者はこぞって彼らの原書や翻訳を読み漁っては文学論を戦わせていた。
そのような一時代を画するような出版社は現在では見当たらないが,そのころの熱狂的な雰囲気をいまでも少しは伝えているのが標題の出版社である。
Edition de Minuit。日本語に訳せば「ミニュイ社」とか「深夜叢書社」。
ヌーヴォー・ロマン以降もフィリップ・トゥーサンなど,及ぼす影響はスケールが小さくなったが,現在でも現代フランス文学,ひいては世界文学をリードする作品を出版しつづけている。