カテゴリ:ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)のエントリー一覧
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ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)(01)
ラマ塔の秘密(宮原晃一郎) - 2006/05/13ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)(01) 一 白馬《はくば》の姫君「ニナール、ちよつとお待ち」と、お父様のキャラ侯がよびとめました。ニナール姫は金銀の糸で、ぬひとりした、まつ赤な支那服《しなふく》をきて、ブレツといふ名のついたまつ白な馬にのつて、今出かけようとするところでした。「なんですの、お父様」と、ニナール姫はふりかへりました。 まだ十五になつたばかりですから、顔はほんの子供ですけれど、身体《から...
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ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)(02)
ラマ塔の秘密(宮原晃一郎) - 2006/05/13ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)(02) 三 悪事の相談 それから十五六分も経《た》ちましたらうか。ニナール姫も、さすがに心配しながら、ジウラ王子が無事で早く帰つてくるやうに祈つてをりましたが、どうしたことか、待てども待てども帰つて来ません。ニナール姫は心配で、もうぢつとしてゐられなくなりました。で、自分も、ラマ塔をめざして行きました。一足々々、ジウラ王子が、そこに仆《たふ》れてはゐないかと、危ぶみな...
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ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)(03)
ラマ塔の秘密(宮原晃一郎) - 2006/05/13ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)(03) 四 不敵の馬丁 ニナール姫はアルライと一人の馬賊とが塔から出て行つたあとで、自分もこつそりと、塔を出て、走つてお城へ帰りました。 お城ではニナール姫と、ジウラ王子との姿が見えなくなつたといふので、大騒ぎをしてゐるところだつたので、ニナール姫がひよつこりと帰つてくると、お父様は大悦《おほよろこ》びで「まあ、ニナール?」と、たしなめるやうに言ひました。「お前はこの...
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ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)(04)
ラマ塔の秘密(宮原晃一郎) - 2006/05/13ラマ塔の秘密(宮原晃一郎)(04) 五 袋の鼠 塔の中では馬賊が一人、番に残つてゐました。首領が二三人手下をつれて迎へにくるのを待つてゐるのでした。 すると、少時《しばらく》たつて、外で、何やら人のけはひがしたやうで、草やぶの鳴る音も聞えたやうでした。「ハテな、迎へに来たのにしちや、少し早いぞ」と、馬賊は首を傾《かし》げました。「ことによつたら、あの子供をお城の者がさがしにでも来たかしら」 馬賊...