誰も知らない出演:柳楽優弥 /北浦愛 /木村飛影 /清水萌々子 /韓英恵 /YOU
バンダイビジュアル
発売日 2005-03-11
『ワンダフルライフ』『ディスタンス』の是枝裕和による、劇場用長編第4作。1988年に東京で実際に起きた「子ども置き去り事件」をモチーフにし、母親に置き去りにされた4人の子どもたちが、彼らだけの生活を続ける約1年を描いている。撮影にも1年以上をかけた入魂の一作だ。
撮影時、子どもたちに台本は渡されず、監督のその場の指示で演技させたという。そんな独特の演出スタイルによって生み出された、生々しくもみずみずしい空気感が素晴らしい。彼らの感情が、頭を介してではなく心に直に入ってくるような不思議な感覚を覚える。そんなセミ・ドキュメンタリー的手法の一方でドラマとしての求心力を失うことがないあたりも監督の力量を感じるところだ。
カンヌ映画祭において、最優秀男優賞を史上最年少で受賞した柳楽優弥をはじめ、子どもたち全員の存在感が白眉。母親を演じたYOUら大人のキャストも見事にその世界に寄り添っている。(安川正吾)
「誰も知ろうとしなかった」のではないだろうか。 2005-04-26
見ていて少し辛い映画だった。ひとつには大人と一人としてとても考えさせられたからだ。父親が違う4人の子供たち。皆、学校に一度も行ったことがない。そんなことってあるのだろうか。新しい男ができ、「クリスマスには帰るから」と当座の金を12歳の長男の明に渡し、「よろしくね」と、子供たちを置き去りにする母親。そんな母親でも子供たちは慕っている。母親は正月になっても、春になっても帰ってこない。生活は困窮、食うにも困るようになる。それでも明は4人一緒に暮らしたいと「保護」を拒む。撮影に一年以上かけたそうだが、子供たちの日常の描写は演技しているとは思えないくらい自然でリアリティがあった。台詞を事前に教えず、その場その場で時間を掛けて撮影したという。ドキュメントのような自然なリアリティもだから生まれたのだろう。明が徐々に「家長」のような顔に変わっていく。電気も水道も止められ、馴染みになったコンビニで廃棄される食品を貰いなんとか凌ぐ。それでも4人一緒に暮らしたいのだ。無責任な母親を責めるのは簡単だが、映画ではそんな描き方はしていない。こんな状態に置かれた4人の子供たちを、本当に「誰も知らない」のだろうか。そんなはずはない。「誰も知ろうとしなかった」だけではないのか。最後の悲劇は避けられなかったのか。88年に起きた事件をモデルにしているそうだが、この10年で日本は様変わりした。もっと悪い方に。人とあまり関わりたくない。他人への無関心。ありきたりな表現だが、地域社会=コミュニティが崩壊しつつあると感じる。とくに、大都市では。自分にもそんな自覚があるから見ていて辛かったのだろう。日本社会のいまを描いた秀作だと思う。
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