モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版出演:ガエル・ガルシア・ベルナル /ロドリゴ・デ・ラ・セルナ /ミア・マエストロ
アミューズソフトエンタテインメント
発売日 2005-05-27
キューバの革命家として、南米ではもちろん世界中に信奉者を持つチェ・ゲバラ。本作はブエノスアイレスでの医学生時代の彼・エルネスト(本名)が、友人と1台のバイクで南米を縦断した日々をつづる。彼自身の日記を映画化した、みずみずしい青春ロードムービーだ。アルゼンチンからチリ、ペルーを経てベネズエラへの1万km、6か月の旅で、ふたりはバイクの故障、ほのかなロマンス、そしてハンセン氏病患者たちとの触れ合いを経験する。
マチャピチュ遺跡やアマゾン、アンデスの雪山など、南米独特の風景が印象深い。表向きの物語は、冒険好きな男ふたりの珍道中だが、『セントラル・ステーション』のウォルター・サレス監督は、エルネストが行く先々で図らずも南米の現状を発見し、生きる指針を見つける瞬間を巧みに織りこんでいく。エルネスト役ガエル・ガルシア・ベルナルは、頼りなげな表情の中に意志の強い眼光を輝かせ、主人公の成長を体現。革命家の知られざる青春の1ページであるだけでなく、注目俳優の最高の演技を目の当たりにできる意味でも必見だ。(斉藤博昭)
本物の「旅」への憧憬と意欲をかきたてるロードムービー 2005-09-25
キューバ革命の英雄の一人「チェ」となる以前の若き日のエルネスト・ゲバラ、そしてその友人アルベルトの二人がオンボロバイク「怪力号」に跨り、広大な南米大陸を縦断するロードムービーです。
アンデスの高原、古代先住民の遺跡、アマゾン川、そして南米の数々の都市を巡る過程で、向う見ずな二人の男達、とりわけエルネストはこれから自らが進むべき道の指針となる何かに気づきます。実はこの旅において、エルネストは将来の敵となる「アメリカ合衆国」を意識し始めることにもなるのですが、本作品では「合衆国」という存在に敢えて触れないことにより、青年の成長に焦点を絞った、よりまとまりのある映画に仕上がっています。
旅すること、それ自体が人生を変えてくれるのではありません。旅で出会う景色や人々、そして過酷な現実に対峙した時の自らの気概や好奇心、そして情熱こそが、人生を変えるのだということをこの映画は伝えてくれます。腰の重い方であっても、彼らの旅を体験すれば、1万キロの大旅行とはいかずとも、日常から脱するちょっとした小旅行への誘惑にかられるのではないでしょうか。また、私自身そうでしたが、旅行好きな方にとっても、作られた「旅行」とは異なる本物の「旅」への憧憬と意欲をかきたてられることは間違いないでしょう。
ゲバラ役を努める主演ガエル・ガルシア・ベルナルの演技が秀逸。照れを隠す際のバツの悪い苦笑い、時折見せる鋭く陰影のある表情で、まだ頼りないが、徐々に何者かへ脱皮し始める青年を見事に演じきっています。加えて、アルベルト役のロドリゴ・デ・ラ・セルナが、ラテン男そのままを体現する陽気なノリで、波乱万丈の旅に彩りを添えています。
本作品に共感した方には、戸井十月著の「チェ・ゲバラの遥かな旅」をお奨めします。映画とはまた違った視点から若きゲバラの旅とその後が描かれ、この英雄の真実の姿をまたひとつ知ることができます。
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